面接官は数字の大きさより、その数字の「出どころ」を見ている
「前のお店では、指名は月に何名くらいでしたか?」「売上はどのくらいでしたか?」。転職面接でこう聞かれると、頭が真っ白になる人は少なくありません。数字が低かったらどうしよう、盛るべきか、正直に言って落とされないか、と考えてしまうからです。
ただ、面接官が数字だけを知りたいなら、履歴書や職務経歴書に書かせれば足ります。口頭で聞くのは、数字の背景を確かめたいからだと考えたほうが対策を立てやすくなります。聞いている中身を分けると、おおよそ次の4つです。
- 自分の数字を自分の言葉で説明できるか(状況を把握しているか)
- その数字を、どの店・どの客層・どの役割のもとで出したのか
- 数字を伸ばすために、自分で何かやったか
- うちのサロンに来たら、同じことが再現できそうか
同じ「月の売上」でも、在籍期間が違い、店の客層が違い、アシスタント業務や店長業務をどれだけ兼ねていたかが違えば、意味は変わります。面接官にとって、前提のない数字は比べようのない数字です。だから前提をセットで話せる人のほうが、数字の大小に関係なく状況を理解している人として伝わります。
面接の前に、実績メモを「数字・期間・条件」で作っておく

その場で思い出しながら話すと、あいまいな言い方になったり、つい大きめに言ってしまったりします。面接前に、次の項目を紙かスマホのメモに書き出しておきましょう。
- 指名数:直近の月ごとの数字と、スタイリストとして立った時期からの在籍期間
- 売上:月平均と、いちばん良かった月・落ちた月、それぞれの理由
- リピート:再来店のあるお客様の割合や、次回予約を取る習慣の有無(正確な集計がなければ「感覚値です」と断る前提で整理する)
- 店の条件:立地、客層、予約の入り方(フリー客中心か、指名中心か)、スタッフ数
- 自分の役割:カラー・パーマ・縮毛矯正などの得意メニュー、アシスタント指導や店長補佐など施術以外の担当
正確な数字が手元に残っていないときは、「だいたい○名前後」「月に○〜○名の幅」のように幅をつけて整理します。覚えていないものを細かい数字にして話すと、あとで具体的に聞き返されたときに崩れます。幅のある事実のほうが、面接では信頼されやすくなります。
メモを作る途中で、「数字は出せないが、前の店では新規のお客様を次回予約につなげる工夫をしていた」のような、数字の外にある実績にも気づくはずです。それも一緒に書き留めておきます。
答え方は「数字→背景→工夫→次の店での活かし方」の順にする
実績を聞かれたら、この4つを順に話すと、短くても筋が通ります。それぞれ一言ずつで構いません。
「直近1年の指名は月平均○名前後です(数字)。住宅街の店で、ご来店の中心は平日昼のお客様でした。ブランクのあとにスタイリストとして立ったため、立ち上がりは時間がかかりました(背景)。次回予約のご案内を会計時に必ず行うようにして、再来店の間隔が空きにくくなりました(工夫)。ご来店の間隔を意識したご提案は、御社でも活かせると思っています(活かし方)」
数字を先に言い切ってから背景を足すのがコツです。背景から話し始めると、数字を避けているように聞こえます。
避けたいのは次の3つです。
- 数字を盛る。裏付けを求められたときに、数字の問題が人柄の問題になります。
- 「前の店は客層が合わなかったので」と環境を理由にして終わる。背景の説明が言い訳に聞こえます。
- 数字を聞かれて、いきなり謙遜だけで返す。「大したことないです」は、面接官が判断する材料を何も渡しません。
数字が弱いとき・出しにくいときは、プロセスと再現性で補う
数字が低い、出入りの激しい店で在籍期間が短かった、ブランクがあった。そういうときも、数字を隠す必要はありません。数字は事実のまま答えたうえで、次の2点を足します。
ひとつはプロセスです。数字が出なかった期間に、何を試して、何が変わったかを話します。「新規のお客様に次回予約を提案する回数を決めて取り組んだ」「得意なカラーのビフォーアフターをSNSに載せて指名のきっかけを作った」といった、自分の行動で説明できることを選びます。
もうひとつは再現性です。今の数字の理由が、前職の条件(立地、客層、集客を店が担っていたかどうか)にあるなら、その事実を淡々と述べます。そのうえで「次の店でも、お客様との接し方としては同じことをやれる」と、環境に左右されない部分を示します。環境の違いを言い訳にしないとは、環境を一切話さないことではありません。事実として添え、そのうえで自分の行動に話を戻すことです。
面接の場を、サロンが数字をどう見るかを確かめる機会にも使う

実績を聞かれるのは、自分がサロンを見極められる場面でもあります。数字の聞き方や扱い方には、そのサロンの評価の考え方が出るからです。答えたあとに、次のような質問を足してみてください。
- 「入社後、指名数や売上は評価の中でどのように見ていただけますか。数字以外に見られる項目はありますか」
- 「中途入社のスタイリストの場合、最初の数か月は数字についてどのような扱いになりますか」
- 「前の職場の数字は、入社後の目標設定の参考にされますか」
- 「お客様のご紹介や集客は、お店とスタイリスト個人のどちらが担当する形でしょうか」
数字だけで評価するのか、お客様への対応や再来店のつくり方まで見るのか。質問への答え方で、面接官の評価軸の幅が見えてきます。具体的に答えが返ってくれば判断材料になり、答えが曖昧なら、入社後の評価の説明も曖昧になる可能性があります。ここは面接後の自分の判断にそのまま使えます。
持ち込みの可否も、事前に聞いておくと当日が楽になります。「実績をまとめたメモを持参してもよいですか」と応募時や日程調整の連絡で一言確認すれば、手元の資料を見ながら話してよいかどうかがわかります。確認が取れなければ、メモは自分の頭の整理用にとどめ、口頭で話せるようにしておきます。
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